看護師の募集・採用では、年齢制限は原則として禁止されています。ただし、定年を上限にする募集などには例外があり、実際の転職活動では年齢が壁になる場面もあります。
私が採用担当として、55歳を超えて一般看護師として転職する方におすすめするのは、病院の公式サイトからの直接応募です。紹介会社経由では、病院が負担する紹介手数料と、定年までの勤務期間が採用のハードルに関わるためです。管理職としての転職は分けて考えます。

元・看護師転職サイトのコーディネーター。現在は神奈川県の医療法人で看護師の採用担当として、年間200名以上の面接に関わっています。この記事では、制度上の原則だけでなく、採用する側から見た実態と応募方法をお伝えします。
「55歳を超えたら転職できない」という意味ではありません。また、55歳は全国共通の採用基準でもありません。定年60歳の病院で採用に携わる私が、応募方法を考える際の目安としてお伝えするものです。
看護師の転職に年齢制限はある?
年齢による募集・採用の制限は原則禁止です。ただし、求人に応募できる条件と、自分が希望する雇用形態で採用されるかは、分けて確認する必要があります。

「年齢不問」でも、実際には壁になることがある
厚生労働省は、求人票を年齢不問にしていても、年齢を理由に応募を断ったり、書類選考や面接で年齢を基準に採否を判断したりすることは、法の規定に反すると説明しています。
一方、採用実務に携わっていると、年齢が応募の受け入れや選考に影響している場面はあります。特に紹介会社経由では、その影響が出やすいと感じています。「法律で禁止されているから、実際の転職でも年齢は関係ない」とは言い切れません。
ここでお伝えしているのは採用現場の実態であり、年齢を理由とする選考を正当化するものではありません。
「59歳以下」など、定年を上限にする募集には例外がある
定年年齢を上限として、その年齢未満の方を期間の定めのない労働契約で募集・採用する場合は、年齢制限禁止の例外に該当します。定年60歳の職場が、無期雇用の募集で59歳以下とするケースなどです。
ただし、定年があるという理由だけで、すべての募集に同じ年齢上限を設けられるわけではありません。求人票の雇用形態、契約期間、年齢制限の理由をあわせて確認してください。
出典:厚生労働省「募集・採用における年齢制限禁止について」、ハローワーク「年齢制限該当事由について」(2026年10月25日確認)。
紹介会社経由では、紹介手数料と定年が関わる
紹介会社経由で採用する場合、病院には紹介手数料が発生します。採用する側は、必要な経験や勤務条件に加え、その費用も含めて検討しています。

年収に連動して、紹介手数料も高くなる
私が採用実務で扱う人材紹介では、入職する方の想定年収の20〜30%程度を、病院が紹介会社に支払います。これは私の実務経験に基づく目安で、手数料の率や算定条件は契約によって異なります。
経験年数が給与に反映される病院では、経験豊富な看護師ほど提示年収が高くなり、それに連動して紹介手数料も高くなります。ただし、年齢が高ければ必ず高年収になるわけではありません。給与制度や経験加算の上限、夜勤の有無などによって変わります。
給与の決まり方は、看護師の転職で経験加算はどう決まるかで詳しく説明しています。
定年まで数年だと、採用費用との兼ね合いが生じる
私の勤務先の定年は60歳です。紹介手数料を負担して採用しても、正職員として勤務できる期間が定年まであと数年となると、採用側は慎重になります。
もちろん、定年後も勤務を続ける場合はあります。ただ、定年前と同じ雇用形態・条件で、そのままずっと働けるとは限りません。紹介手数料と、その後にどのような形で勤務していただけるかの兼ね合いが、採用実務では問題になります。

経験が十分あっても、紹介会社経由だと採用費用が検討材料に加わります。年齢に不安がある方に、応募方法も考えてほしい理由はここです。
55歳を超えた看護師に直接応募を勧める理由
一般看護師として転職するなら、私は55歳を超えた方には病院への直接応募をおすすめします。紹介手数料という、採用側の費用負担をなくせるためです。

病院の採用ページから、自分で問い合わせる
ここでいう直接応募とは、病院の公式採用ページや採用窓口から、自分で応募する方法です。紹介会社のコーディネーターを通さず、病院とやり取りします。
まずは通勤できる範囲の病院について、公式サイトの看護師募集を確認してください。希望する勤務形態の掲載がなければ、採用窓口に募集の有無を問い合わせる方法もあります。
直接応募でも、必要な経験や勤務できる時間帯が募集内容と合わなければ、採用は難しくなります。費用がかからないから必ず採用される、という意味ではありません。
「自分で応募する求人サイト」とは費用が違う
ジョブメドレーのように、紹介会社の担当者を介さず、自分で求人を選んで応募するサービスもあります。ただし、ジョブメドレーは成功報酬型の求人サービスで、採用した施設側には費用が発生します。
「コーディネーターがつかないこと」と「病院側に採用費用がかからないこと」は別です。採用費用の負担を減らす目的で私が勧めているのは、病院の公式窓口からの直接応募です。
応募方法全体の比較は、看護師の直接応募と転職サイト経由の違いで確認できます。
管理職としての転職は、分けて考える
看護師長や看護部長など、管理職として転職する場合は、一般看護師と同じ考え方にはしません。私の勤務先でも、外部から嘱託で採用するのは管理職です。
管理職求人では、求められる役割と、定年前後の契約条件を個別に確認してください。この記事の「55歳を超えたら直接応募を勧める」という話は、一般看護師としての転職を想定しています。
すでに紹介会社から紹介・推薦を受けた病院については、その経緯を伏せて直接応募へ切り替えず、担当者と病院に応募経路を確認してください。
60歳以上は、再雇用と外部採用の違いに注意
定年後も看護師が働いている病院でも、外から同じ雇用形態で入職できるとは限りません。在籍者の再雇用と、新たな中途採用を分けて確認してください。

私の勤務先では、外部の一般看護師はパート採用
私の勤務先では、60歳を定年としており、60歳以上の方を正職員として採用することはありません。在籍中に定年を迎えた方は、再雇用で嘱託になります。
ただし、この嘱託という雇用形態は、基本的には当院で定年を迎えた方に向けたものです。外部からの嘱託採用は管理職に限っており、60歳以上の一般看護師を外から採用する場合はパートになります。
| ケース | 私の勤務先での雇用形態 |
|---|---|
| 在籍中の看護師が60歳の定年を迎える | 再雇用で嘱託になる |
| 60歳以上の一般看護師を外部から採用する | パート採用 |
| 60歳以上の管理職を外部から採用する | 嘱託で採用する場合がある |
これは私の勤務先の事例です。定年年齢や再雇用の条件、外部採用の雇用形態は、病院によって異なります。

定年後も働いている人がいる病院なら、外からも同じ条件で入れると思っていたよ。
「再雇用あり」だけで、転職後の働き方を決めつけない
求人票に再雇用制度の記載があっても、それだけでは「定年後の年齢で外部から応募できるか」は分かりません。再雇用の対象者と、中途採用の募集対象を確認しましょう。
定年前に入職する場合も、定年を迎えた後の契約期間・給与・勤務日数などを、入職前に聞いておくと判断しやすくなります。「働き続けられる」と「同じ条件で働き続けられる」は分けて考えてください。
年齢が気になる看護師の応募前チェック
採用窓口には、年齢だけを伝えるより、これまでの経験と希望する働き方をあわせて相談すると、募集内容との確認を進めやすくなります。

雇用形態・契約期間・定年後の条件を確認する
- 希望する雇用形態で中途採用を行っているか
- 契約期間の定めはあるか。更新の条件や上限はどうなっているか
- 定年は何歳か。入職後に定年を迎えた場合、どのような働き方になるか
- 給与・賞与・退職金はどうなるか。夜勤を含む場合は何回の想定か
- 自分の経験が活かせる配属先と、勤務時間・夜勤条件が合っているか
正職員という呼び方だけで判断せず、契約期間と実際の勤務条件を確認してください。給与水準は地域や病院によっても異なります。年収を比較する場合は、夜勤・残業代を含むかもそろえて見ましょう。
病院への問い合わせ例
以下は、応募前にメールなどで確認するときの文面例です。ご自身の経歴と勤務できる条件に置き換えて使ってください。
看護師の中途採用について伺いたく、ご連絡しました。現在56歳で、一般病棟での勤務経験があります。一般看護師として常勤勤務を希望していますが、現在、該当する募集はありますでしょうか。あわせて、定年年齢と、入職後に定年を迎えた場合の雇用形態についても教えていただけますと幸いです。
60歳以上で応募する場合は、希望する勤務日数や時間帯も具体的に伝えてください。経験の内容は、病棟名だけでなく、担当してきた業務まで整理しておくと説明しやすくなります。
書類の準備には、看護師の履歴書・職務経歴書の書き方を活用してください。40代の職場選びや面接について知りたい方は、40代看護師の転職記事にまとめています。

年齢が気になるときも、最初から応募を諦める必要はありません。まずは希望する病院の採用窓口で、募集内容と、入職後にどのような条件で働けるかを確認してみてください。



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