
結論から言うと、看護師は転職回数が多いだけで不採用になるわけではありません。採用担当が気にするのは、回数よりも「短期離職の続き方」と「今回は長く働ける理由」です。
「転職3回は多い?」「5回以上あると書類で落ちる?」と考えたら、まず直近の職場から、勤続期間と退職理由を並べてみてください。同じ回数でも、短期間の退職が続いているか、数年ずつ働いてきたかで、私の見方は変わります。
元・看護師転職サイトのコーディネーター。現在は神奈川県の医療法人で看護師の採用担当として、年間200名以上の面接に関わっています。
この記事では、私が職歴を確認するときの見方と、応募前に整理したい内容を説明します。以下の採用上の判断は私の経験であり、すべての病院に共通する合否基準ではありません。
看護師の転職回数は何回から多い?年齢と勤続期間で見方が変わる

「何回以上なら不採用」という一律の線引きはしていません。例えば20代と50代では、看護師として働いてきた期間が違うため、同じ転職回数でも受け止め方が変わります。
20代で転職が重なっている場合は、短い期間に職場を変えた事情を詳しく確認します。一方、50代で複数の職場を経験していても、長い職業生活の中で各職場に何年勤めてきたかによって印象は変わります。どの年代でも、在籍期間と退職理由、直近の短期離職が続いていないかを合わせて確認します。
| 職歴の見方 | 応募前に整理すること |
|---|---|
| 20代で転職が重なっている | 短い期間に職場を変えた事情と、それぞれの勤続期間 |
| 50代で複数の職場を経験している | 職業生活全体での勤続期間、積んだ経験と直近の離職状況 |
| 直近で半年以内の離職が3回続く | 各職場を辞めた理由と、今回も同じ事情が起きないか |
まず、履歴書の職場数と転職回数を区別しましょう。たとえばA病院→B病院→C病院なら、勤務先は3か所、転職は2回です。派遣の場合は、雇用元と派遣先も分けて整理します。
経験年数による評価については、看護師の転職は何年目がベスト?で詳しく説明しています。
採用担当が転職回数より見ている4つのポイント
私が特に重視するのは、直近の短期離職の続き方です。そのうえで、退職理由、身につけた経験、今回の勤務条件を確認します。

私がまず気にするのは、「直近で半年以内の離職が3回続いていないか」と「同じ退職理由が繰り返されていないか」です。転職回数だけを数えるのではなく、同じ離職パターンが続いていないかを見ています。
1.特に直近の職場で働いた期間
各職場の在籍期間を確認しますが、私は特に直近の転職を重視しています。昔の短期離職と、最近になって短期離職が続いている状況は、分けて見ます。
5回転職していても、それぞれ3〜5年働いていれば「経験を積みながら職場を変えてきた人」と見られます。一方、半年、8か月、10か月と1年未満の退職が連続していると、「今回も早期離職するのでは」と心配になります。
短期離職が1回あるだけなら、そこまで大きな問題ではありません。転職先とのミスマッチは誰にでも起こるからです。ただ、私の場合、直近で半年以内の離職が3回続いていると、かなり慎重に職歴を確認します。採用側が気にするのは、短い職歴が1つあることより、同じパターンが続いているかどうかです。
ただし、警戒した時点で不採用を決めるわけではありません。短期離職の原因が現在は解消しており、さらに過去に5年以上働いた実績があるなら、定着の可能性を考える判断材料にはなります。採用を保証するものではありません。
「以前は長く働けていた」「短期離職につながった事情は今後繰り返さない」と確認できれば、今回も定着できる可能性があると考えられるからです。
2.退職理由に一貫性があるか
退職理由は職場ごとに整理します。育児、転居、仕事内容など、理由が途中で変わることもあります。無理に一つのキャリアストーリーへまとめず、それぞれの事情と今回の希望とのつながりを説明してください。
たとえば「急性期で基礎を身につけた後、患者さんと長く関われる看護を求めて回復期へ移った」「子育て中はクリニックで勤務し、生活が落ち着いたため病棟へ戻りたい」という説明には一貫性があります。
なかでも私が特に気になるのは、人間関係を理由にした退職が毎回続いているケースです。「人間関係が悪かった」「上司が合わなかった」という説明が職場を変えるたびに繰り返されると、応募先でも同じことが起きるのではないかと考えます。
退職理由の伝え方は、看護師の退職理由、面接でどう伝える?も参考にしてください。
3.転職によって何を身につけたか
転職回数が多くても、職場ごとに得た経験を説明できればマイナスだけにはなりません。
- 急性期病院で身につけたアセスメント力
- 回復期で学んだ退院支援と多職種連携
- 介護施設で経験した看取りや家族対応
- 訪問看護で培った一人で判断する力
勤務先が多いことを隠そうとするより、複数の現場を知っていることを応募先でどう生かせるかに変換したほうが評価されやすくなります。
4.今回は長く働ける根拠があるか
採用担当が最終的に知りたいのは、過去の反省ではなく「今回は同じ理由で辞めないか」です。
夜勤回数が合わずに辞めたなら、応募先の夜勤体制を確認しているか。通勤が負担だったなら、今回は無理なく通える距離か。教育不足が理由なら、入職後の教育内容を見学や面接で確認したか。
退職理由と応募先選びがつながっていれば、「今回は長く働けそうだ」と判断しやすくなります。
看護職員の転職経験は約半数|平均勤務先数と転職回数は別
日本看護協会の「2025年 看護職員実態調査」では、回答した看護職員4,430人のうち、転職経験がある人は50.9%でした。転職経験者の平均勤務先数は3.1か所です。
| これまでに所属した勤務先数 | 転職経験者に占める割合 |
|---|---|
| 1〜2か所 | 46.9% |
| 3〜4か所 | 36.0% |
| 5〜6か所 | 10.7% |
| 7か所以上 | 4.3% |
| 無回答・不明 | 2.1% |
3.1か所は勤務先数であり、「平均3.1回転職した」という意味ではありません。また、保健師・助産師などを含む看護職員の調査です。全国の看護師全員の平均や、採用の合否ラインとしては使えません。
平均との比較だけで応募を諦めず、自分の勤続期間と退職理由を確認しましょう。
転職回数が多くても大きなマイナスになりにくいケース
転居や契約満了など、職場を変える事情によって受け止め方は変わります。退職理由に加え、今後の勤務に支障がないかを確認します。

転職回数が多くても、どこかの職場で5年以上勤務した実績があり、それぞれの退職理由に納得感がある看護師なら、採用したいと思えます。
長く働いた実績があれば、「環境が合えば定着できる人」と判断する材料になります。直近に短い職歴があっても、それ以前の長期勤務はきちんと評価します。ただし、過去の長期勤務だけで、直近の短期離職への懸念がなくなるわけではありません。最近の事情も説明してください。
- 結婚・出産・育児・介護:生活環境の変化として説明しやすい
- 配偶者の転勤や引っ越し:本人の定着性とは分けて考えられる
- 契約満了・派遣期間満了:自己都合の早期離職とは意味が違う
- 閉院・病棟閉鎖・事業縮小:本人に原因がない
- 明確なキャリアアップ:急性期、回復期、在宅など経験の流れを説明できる
- 短期離職が1回だけ:理由と次の職場選びを説明できれば致命的ではない
ただし、どの理由も言えば自動的に問題がなくなるわけではありません。「その事情は今どうなっているか」「今回の勤務に影響しないか」まで説明できるようにしておきましょう。
採用担当が気になる転職歴
退職の事情が分からないままだと、入職後に同じことが起きないか判断できません。次の点を、自分の職歴に照らして確認してください。
1年未満の退職が何度も続いている
短期離職そのものより、短期離職が連続していることが気になります。新しい職場では、独り立ちするまでに教育やフォローが必要です。その前に退職するケースが続いていると、採用側は教育コストだけでなく、現場への負担も考えます。
退職理由がすべて他責になっている
人間関係が理由というだけで、本人に問題があるとは判断できません。ハラスメントなど職場側の問題があった場合は、事実を隠したり、無理に自分の責任へ置き換えたりする必要はありません。何が起きて退職に至ったのか、次は何を確認して働きたいのかを具体的に説明してください。

私が特に印象が悪いと感じるのは、感情的に前職の悪口を言う人と、退職の原因を相手や上司だけの責任にする人です。人間関係で辞めたこと自体より、その経験を本人がどう捉えているかを見ています。
嘘をつく必要はありませんが、「前職で何が合わなかったか」に加えて、「その経験から次は何を確認して選ぶのか」まで話すことが重要です。
履歴書と話の内容が合っていない
年月のずれ、雇用形態の書き忘れ、説明していない空白期間があると、転職回数以上に信頼性が下がります。
採用担当は探偵のように過去を調べたいわけではありません。それでも、書類と説明に矛盾があれば確認せざるを得ません。職歴は西暦か和暦のどちらかに統一し、入職・退職年月を整理しておきましょう。
転職のたびに希望条件が変わっている
「急性期を学びたい」「やはりゆっくり働きたい」「次は美容に行きたい」と方向が短期間で変わっていると、今回の志望も一時的ではないかと見られます。
方向転換が悪いわけではありません。変わった理由と、今の希望にたどり着いた経緯を説明できるようにしましょう。
転職回数が多い看護師の履歴書・職務経歴書の書き方

勤務先が多い場合も、入退職年月を確認できる職歴一覧を残します。そのうえで、応募先に関係する経験を職務要約で見せると、経歴を読み取りやすくなります。
短期間の職歴も原則として省略しない
「3か月しか働いていないから書かなくてもよい」と考える方もいますが、職歴は在籍期間が短くても原則として記載しましょう。
短期離職を書いたことより、後から説明と違うことが分かったときのほうが、採用側の印象は悪くなります。
雇用形態と退職理由を簡潔に添える
派遣や有期契約は、正職員の短期離職と意味が違います。「契約期間満了につき退職」と書けば、採用担当にも事情が伝わります。
病院の統合や家族の転勤など、短く説明できる客観的な事情がある場合も、職歴欄または職務経歴書に一言添えるとよいでしょう。
職務経歴書では経験をまとめて見せる
勤務先が多い人ほど、病院名の羅列だけでは強みが伝わりません。
- 診療科・病床機能と病床数
- 担当した主な疾患・看護業務・対応できる手技
- リーダー・プリセプター・委員会での役割と担当人数
- 応募先で生かせる経験
この4点を職場ごとに簡潔にそろえると、転職回数よりも「何ができる人か」が目に入りやすくなります。
書類全体の作り方は、看護師の履歴書・職務経歴書の書き方ガイドと、採用担当が書類審査で本当に見ている3つのポイントで解説しています。
職歴が多いときは、直近の勤務先から整理する
まず手元のメモに、入退職年月、雇用形態、配属先、退職理由、今も残っている課題を書き出します。直近からさかのぼると、最近の離職が続いていないかを確認しやすくなります。提出書類は応募先の指定様式に合わせて整えてください。
| 整理する項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 勤務期間・雇用形態 | 入職年月/退職年月/正職員・パート・有期契約など |
| 担当業務 | 病棟・診療科、できる手技、任された役割 |
| 退職理由 | 実際に起きた事情を短く記載 |
| 次の応募先で確認すること | 同じ負担やミスマッチが起きないための質問 |
面接で転職回数を聞かれたときの回答例
「辞めた事情→そこで得た経験→今回確認した勤務条件」の順に整理すると、回数の説明だけで終わりません。以下は説明の組み立て方を示す作例です。経験していないことや、見学で確認していないことは加えないでください。
短期離職がある場合
前職は入職後に想定していた教育体制との違いがあり、十分に確認せず転職先を決めたことを反省しています。今回は同じことを繰り返さないよう、見学で中途入職者の教育方法と独り立ちまでの流れを確認しました。これまでの急性期経験を生かしながら、長く働きたいと考えています。
ポイントは、辞めた事情と今回確認したことを分けて説明することです。職場側に問題があった場合まで、自分の反省へ置き換える必要はありません。
転職回数が5回以上ある場合
これまで急性期、回復期、介護施設を経験し、それぞれの職場で退院支援や高齢者看護を学んできました。一方で、職場選びの軸が十分に定まっていなかった時期もあります。今後は高齢者の生活まで見据えた看護を続けたいと考えており、地域包括ケアに力を入れている貴院を志望しました。
転職回数をごまかさず、複数の経験を今回の志望動機につなげています。
人間関係を理由に退職した場合
前職では相談体制が十分でない中、一人で抱え込んでしまったことが退職のきっかけになりました。その経験から、自分から早めに相談し、周囲と情報共有することの大切さを学びました。今回は見学を通してチームで相談する雰囲気を確認し、ここで長く働きたいと考えています。
人間関係という言葉を無理に別の理由へ変えるのではなく、自分が今後どう行動するかまで含めると伝わり方が変わります。
一人で経歴をまとめにくい場合は、書類添削や面接対策のある紹介会社へ相談する方法があります。応募したい病院が決まっていて自分で準備できるなら、直接応募も選択肢です。ナース専科の下のリンクは登録窓口です。登録後は担当者とのやり取りがあるため、連絡方法と連絡可能な時間帯を伝えてください。
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転職回数が多いと、面接でどう説明すればいいか不安……
そんな方は、応募前にナース専科 転職へ相談してみるのも一つの方法です。履歴書の書き方や、応募先に合わせた面接対策を無料でサポートしてもらえます。情報収集だけの相談も可能です。
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転職を繰り返さないために、応募前に確認すること

前職を辞めた原因が、応募先でも起きないかを確認します。「長く働きます」という意思だけでなく、続けられる勤務条件がそろっているかを見てください。
- 今回の転職で絶対に外せない条件を3つに絞る
- 求人票だけでなく、病院見学で現場を確認する
- 夜勤回数、残業、配属、教育体制を具体的に質問する
- 自分の経験が応募先で本当に生かせるか考える
- 内定を急かされても、その場で決めない
転職回数を減らす一番の方法は、面接でうまく説明することではなく、次のミスマッチを防ぐことです。
求人票の確認方法は、ブラック病院を回避する求人票の読み方も参考にしてください。応募経路で迷っている方は、直接応募と転職サイト、採用されやすいのは?もあわせて読んでみてください。
| 前職で合わなかったこと | 応募先で聞く質問の例 |
|---|---|
| 夜勤の負担 | 夜勤回数の目安と、回数の相談ができるか |
| 教育・相談体制 | 中途入職者の教育担当と、困ったときの相談先は誰か |
| 配属・仕事内容 | 配属希望はいつ確認でき、希望以外の部署もあり得るか |
転職回数が多い看護師によくある質問
回数だけで結論を出さず、応募書類と勤務条件を分けて考えてください。迷いやすい点を整理します。
転職回数が多いと書類選考で落ちますか?
回数だけで落ちるとは限りません。私の場合、直近で半年以内の離職が3回続くと、特に慎重に確認します。辞めた事情と今回の勤務条件を説明してください。説明を整えれば必ず通過するということではありません。職務経歴書で経験と転職理由の流れを整理しましょう。
短期間で辞めた職場は履歴書に書かなくてもよいですか?
在籍期間が短くても、原則として記載するのが安全です。省略によって職歴や空白期間の説明に矛盾が出ると、短期離職そのものより信頼を損なう可能性があります。
転職回数が多いことを志望動機に書くべきですか?
志望動機で回数を謝る必要はありません。複数の職場で得た経験のうち、応募先で生かせるものを選び、「なぜ今回はこの職場なのか」につなげましょう。回数について質問されたら、面接で簡潔に説明すれば十分です。
40代で転職回数が多くても採用されますか?
40代は回数だけでなく、これまでの経験と応募先との相性が重視されます。即戦力として何ができるか、今後どのように働きたいかを具体的に伝えましょう。詳しくは、看護師40代の転職は難しい?で解説しています。
転職が10回以上あると、もう採用されませんか?
10回という数だけで、すべての応募先に採用されないとは言えません。一方、経歴を詳しく確認されることは想定して準備しましょう。短期離職の連続と、有期契約の満了や転居による退職を分け、応募先で活かせる経験と勤務可能な条件を伝えてください。
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転職回数だけで判断しない職場を探したい方へ
これまでの経験や希望を整理し、自分に合う求人を紹介してもらえます。「今すぐ転職するかは決めていない」という方でも、まずは情報収集から相談できます。
ナース専科 転職に無料で相談する →まとめ|まずは直近の職歴と、次に確認する条件を整理する
応募前に、直近の勤務先から在籍期間と退職理由を並べてみてください。短い職歴が続いているなら、それぞれ何が起きたのか、今も同じ課題が残っているのかを確認します。
そのうえで、次の見学・面接で確かめる条件を一つ決めましょう。夜勤、教育、配属など、退職につながった事情を具体的な質問へ変えることが、次の職場選びにつながります。


