看護師の退職理由は、本音を無理に「スキルアップ」に置き換える必要はありません。辞めた事情、働き続けるために取った行動、次の職場で希望する働き方を整理して伝えることが大切です。
私は、看護師転職サイトのコーディネーターを経験し、現在は医療法人で看護師の採用を担当しています。面接では、退職理由の言葉遣いだけでなく、「なぜ退職に至ったのか」「今回の職場では長く働けそうか」を確認しています。
この記事では、転職先の面接で退職理由を伝える方法を、理由別の例文とともに解説します。例文は、自分が経験したことや実際に確認した応募先の情報に合わせて調整してください。
看護師の退職理由|面接で採用担当が確認していること

同じ理由で短期離職を繰り返さないか
私が慎重に確認するのは、短い期間での退職が続き、理由も毎回似ているケースです。特に、1年未満の退職が続いている場合は、それぞれの職場で何が起きたのかを確認します。退職理由だけを切り取らず、勤続期間やこれまでの働き方と合わせて見ています。
一度、人間関係や仕事内容が合わずに退職したことと、複数の職場で同じ理由の短期離職を繰り返していることは、同じようには捉えていません。
上司への相談・病棟異動など、残るための行動をしたか
人間関係には合う・合わないがあり、退職につながるのも仕方がない部分はあると思っています。そのため、人間関係が理由というだけで否定的に判断するわけではありません。

私が確認するのは、上司に相談したか、病棟異動を希望したかなど、その職場に残るために何か行動したかです。そして、相談に対して職場がどう対応したのかも聞きます。
相談しても改善しなかった、異動を希望したものの難しかったなど、経緯が分かると退職した事情を理解しやすくなります。相談できなかった事情がある場合も、その状況を説明して構いません。
退職理由と応募先を選んだ理由がつながっているか
夜勤の負担が退職理由なら、次の職場で夜勤をどう考えているのか。業務のスピードが合わなかったなら、今回の病院の機能や仕事内容をどう理解しているのか。私は、このつながりを確認します。
「ここなら大丈夫だと思いました」だけでなく、募集条件や見学で確認できた内容を伝えると、応募先を選んだ理由が具体的になります。確認できていないことは、面接で質問しましょう。
看護師が面接で退職理由を伝えるときの基本

退職した事情・取った行動・今後の希望の順で伝える
最初に退職した事情を簡潔に説明し、相談などの行動を取った場合は、その内容と結果を続けます。最後に、今後どのように働きたいか、なぜ応募先を選んだかを伝えましょう。
「何に困っていたか → どう対応し、なぜ退職したか → 次の職場でどう働きたいか」の順にメモすると整理しやすくなります。転居などの場合は、無理に改善行動を付け足す必要はありません。
本音を無理に「スキルアップ」に言い換えない
退職のきっかけが忙しさや休日、通勤距離でも、無理に別の理由を作る必要はありません。「スキルアップのため」と答えても、何を学びたいのか、応募先でそれができるのかを説明できなければ、話がかみ合わなくなります。
条件を改善したいという気持ちに加えて、これまでの経験をどう活かしたいかを伝えましょう。退職理由を立派に見せることより、自分の経歴と希望がつながっていることが大切です。
前職の悪口と、退職に至った事実の説明を分ける
「上司がひどかった」「あの病院は最悪だった」と評価だけを重ねても、具体的な状況は伝わりません。何が起き、働き続けるうえで何が難しかったのかを説明してください。
ハラスメントなどの事情を説明することと、相手を感情的に非難することは別です。自分に非がない場合に、無理に自分の責任として話す必要はありません。話せる範囲で、事実と経緯を伝えましょう。
看護師の退職理由|理由別の伝え方と面接例文

以下は伝え方の例です。相談・異動希望・見学・勤務上の条件など、実際とは違う内容をそのまま使わないようにしてください。
人間関係が合わない場合
「人間関係が合わなかった」だけで終わらず、困っていた状況と、実際に取った行動を説明します。下の例文は、上司への相談と異動希望をした場合です。
面接での回答例
前職では病棟内の人間関係に悩み、上司に相談しました。働き続けたい気持ちがあったため病棟異動も希望しましたが、異動は難しく、状況も改善しなかったため退職しました。次の職場では、困ったときに相談しながら、チームの一員として長く働きたいと考えています。
採用担当の視点:採用側として知りたいのは、「改善しようとしました」という一言だけではなく、相談の内容や職場の対応です。合わなかった事情を聞いたうえで判断します。
忙しい・残業が多い場合
忙しさが理由なら、残業の長さ、頻度、生活への影響など、自分が負担を感じた部分を具体的にします。実際の時間を把握していれば、その数字を使って説明できます。
面接での回答例
前職では残業が続き、仕事と生活を両立しながら長く勤務することが難しいと感じ、転職を考えました。病棟看護は続けたいと考えており、これまでの経験を活かしながら働ける職場を探しています。御院の配属予定病棟での残業の実情についても、確認させていただきたいと思っています。
採用担当の視点:「忙しくない病院ならどこでもよい」という説明では、応募先との相性が分かりません。続けたい仕事と、見直したい負担を分けて伝えましょう。
夜勤の負担が大きい場合
夜勤そのものが難しいのか、回数や勤務間隔を見直したいのかを整理します。入職後に無理が出ないよう、実際に対応できる勤務条件を伝えることが大切です。
面接での回答例
前職では夜勤を含む勤務を続けることが負担となり、働き方を見直すために退職しました。今後は日勤で働くことを希望しています。これまでの病棟経験を活かせる仕事を探す中で、御院の日勤の募集を拝見して応募しました。
採用担当の視点:日勤の求人に応募する場合の例です。夜勤の回数を減らせば勤務できる場合は、その希望を具体的に伝え、募集条件とのすり合わせをしましょう。
仕事内容・病院の機能が合わない場合
「合わなかった」で終わらせず、どのような業務やペースが合わず、次はどの分野で働きたいのかを説明します。
面接での回答例
前職の高度急性期病院では、業務のスピードや求められる対応に難しさを感じ、退職しました。今後も急性期看護に携わりたい気持ちはあり、二次救急の病院で、これまでの経験を活かしながら学び直したいと考えています。御院で求められる役割や教育体制も確認し、長く働きたいと思っています。
採用担当の視点:私の採用経験では、高度急性期のペースが合わず二次急性期へ転職したいという正直な説明にも、納得できることがあります。ただし、二次救急なら必ず負担が軽いという意味ではありません。実際の業務や教育体制を確認することが必要です。
体調不良・メンタルの不調で退職した場合
退職に至った事情に加えて、現在どのような働き方ができるかを整理します。例文に合わせて「回復しました」「勤務に問題ありません」と言い切るのではなく、実際の状況に沿って伝えましょう。
面接での回答例
前職は体調を崩したため退職し、その後は療養していました。現在は日勤での復職を希望しています。継続して働くために、勤務時間や業務内容について事前に相談させていただきたいと考えています。
採用担当の視点:必要な配慮や勤務上の制限があれば、具体的に相談します。病名や治療の細部を並べることよりも、応募する仕事で対応できること、調整が必要なことが伝わる説明を意識しましょう。
結婚・育児・介護など家庭の事情がある場合
家庭の事情がきっかけの場合は、退職が必要になった背景と、現在希望する勤務条件を簡潔に説明します。家庭内の詳しい事情まで無理に広げる必要はありません。
面接での回答例
育児と当時の勤務時間の両立が難しく、退職しました。現在は勤務できる時間の見通しが立ったため、日勤での復職を希望しています。これまでの病棟経験を活かしたいと考えていますので、募集されている勤務時間について相談させてください。
採用担当の視点:「絶対に休みません」などの約束をする必要はありません。対応できる曜日・時間帯・夜勤の可否など、仕事に関係する条件を具体的に伝えましょう。
給与・休日などの条件を改善したい場合
給与や休日を重視すること自体は、私には悪い印象ではありません。そのうえで、経験をどう活かすか、応募先の仕事内容が希望と合っているかを確認します。
面接での回答例
今後も看護師として長く働くために、給与や休日を含めて働く条件を見直したいと考え、転職を決めました。御院の募集条件に魅力を感じたことに加え、これまでの急性期病棟での経験を活かせると考えて応募しました。
採用担当の視点:条件だけでなく、自分の経歴と応募先の仕事がつながる理由を添えます。未確認の給与や休日は、求人情報の条件と自分に適用される条件が一致するか確認しましょう。
スキルアップ・キャリアチェンジを希望する場合
何を身につけたいのか、なぜ現在の職場では難しいのかを具体的にします。すべての退職理由をこの形に言い換える必要はありません。
面接での回答例
急性期病棟で働く中で、退院後の生活を見据えた支援により深く関わりたいと考えるようになりました。今後は回復期で、多職種と連携しながら患者さんの生活を支える看護を学びたいと考え、転職を希望しています。これまでの全身状態の観察や急変対応の経験も活かしたいと思っています。
採用担当の視点:応募先で経験できる仕事と希望が一致していることが大切です。回復期への転職なら、リハビリや退院支援だけでなく、病棟で担う日常の看護業務も確認しましょう。
短期離職・転職が多い看護師の退職理由の伝え方

短期離職は、辞めた経緯と今回の職場選びを説明する
短期離職がある場合は、辞めた事実を曖昧にせず、何が難しかったのかを整理してください。そのうえで、今回はどのような条件や教育体制を確認して応募したのかを伝えます。
「次は頑張ります」という決意だけでは、前職との違いが分かりません。業務内容、配属先、教育の進め方など、前回の退職につながった点を具体的に確認しておくことが大切です。
面接での回答例
前職は入職後の業務についていくことが難しく、短期間で退職しました。今回は、自分の経験と不足している技術を事前に伝え、どのような教育を受けられるかを確認しながら職場を探しています。必要な研修を受け、基礎から学び直して長く働きたいと考えています。
関連記事:看護師1・2年目の転職|採用担当が見るポイントと病院選び
毎回同じ退職理由の場合は、何が変わるのかを整理する
複数回の転職を、すべて「スキルアップのため」とまとめる必要はありません。それぞれの退職理由を事実に沿って説明してください。
人間関係や忙しさを理由に短期離職が続いている場合、私は「今回の職場では何が変わるのか」を慎重に確認します。自分が負担を感じやすい状況と、次の職場で必要な条件を整理し、応募先で実現できるか確認しましょう。
長く勤務した職場があれば、その経験も伝える
転職回数だけでなく、一つの職場で長く働いた経験も見ています。長く勤務できた職場では、どのような業務を担当し、どんな環境で働いていたのかを伝えてください。
長期勤務した経験があっても、今回の退職理由や応募先との相性は確認します。ただ、短期離職だけを強調するより、職歴全体を説明した方が、これまでの働き方が伝わります。
関連記事:看護師は転職回数が多いと不利?採用担当の確認ポイント
看護師の退職理由の書き方|履歴書と面接の違い

履歴書の職歴欄は「一身上の都合により退職」が基本
自己都合で退職した場合、履歴書の職歴欄では「一身上の都合により退職」と簡潔に記載するのが一般的です。職歴欄に人間関係の経緯などを長く書く必要はありません。契約期間満了など、退職の事情が異なる場合は、実際の状況に合わせて記載します。
応募先の書式に退職理由の記入欄がある場合は、その指示に沿って簡潔に記載しましょう。在職中の場合は、退職済みと誤解されないように記載してください。
面接では「一身上の都合」から一歩具体的に説明する
面接で退職理由を聞かれたときは、「一身上の都合です」だけでは、今後の働き方とのつながりが分かりません。「勤務時間と育児の両立が難しかった」「希望する分野へ移りたかった」など、仕事に関係する範囲で説明を補います。
私生活の細部まで話す必要はありません。履歴書、職務経歴書、紹介会社に伝えた内容、面接での説明に食い違いがないよう、応募前に整理しておきましょう。
関連記事:看護師の履歴書・職務経歴書の書き方ガイド
退職理由を整理して、長く働ける転職先を選ぼう

残業・夜勤・配属先など、退職につながった条件を確認する
退職理由をうまく話せても、転職先で同じ負担が続けば、また働き続けることが難しくなるかもしれません。面接の回答を考えることと、実際に自分に合う職場を選ぶことをセットで進めましょう。
残業が理由なら配属予定部署の残業の実情、夜勤が理由なら回数や体制、仕事内容が理由なら配属先と担当業務を確認します。人間関係が理由なら、見学時のやり取りや、困った際の相談先なども確認材料になります。ただし、一度の見学で職場のすべてが分かるわけではありません。

人間関係には相性もあります。大切なのは、退職理由をきれいに飾ることよりも、これまでの経緯と、次はどのように働きたいかを自分の言葉で伝えることです。
一人で整理しにくい場合は、転職支援の担当者に相談する
退職理由を説明しにくいと感じる場合は、紹介会社の担当者と、辞めた経緯や希望条件を整理する方法もあります。「面接でどう答えるか」に加えて、「前職と同じ問題を繰り返さないために、応募先の何を確認するか」まで相談しましょう。
紹介会社を利用する場合も、担当者が整えた説明が自分の経験と一致しているか確認してください。事実と異なる退職理由に置き換える必要はありません。
関連記事:看護師の転職理由ランキング|採用担当が聞いてきた本音
退職理由の言い換え、一人で悩まないで!
「この退職理由、面接で言って大丈夫か不安…」という方は、ナース専科 転職のキャリアアドバイザーに相談してみてください。退職理由の言い換えから面接対策まで、無料でサポートしてもらえます。
ナース専科 転職に無料登録する登録無料・転職サポート一切無料

の口コミ・評判を採用担当が本音で検証のアイキャッチ-160x90.jpg)


コメント